21.僕の心にいる君の存在をずっと否定していた
死んで欲しい
くたばって欲しい
目の前から消えて欲しい
常日頃から思っていたし、口にも出した。
面と向かって相手にだって伝えてきた。
だからいつかおまえが死んだ時には、大手を叩いて笑い声を上げれると思ってた。
実際は、おまえの亡骸殴りながら、ただひたすらに狂声を上げるばかりだったけど。
22.君と僕を繋ぐ赤い糸
「似ているな」
「なにが」
「先日、受像機で流れていた観劇」
「あー、『赤い糸』?‥‥って、まさか全身に被ったこの返り血のことを言ってるんですか」
「似ているだろう?」
「かなり生臭いしベタベタする」
「正しく、我ららしいではないか」
「馬鹿みたい」
23.君の声が悲痛に響いた
「女触った手で俺に触れるなっ!」
伸ばした腕を叩き落されたのは初めてだった。
どれだけ憎まれ口を叩こうとも、所詮人恋しいこの男の性格に甘んじて、拒絶の態度を返されるなど、予想すらしたことが無かった。
嫉妬、された。
されたいと思っていた。
何をしても素っ気無い彼の態度に余裕が無かった。焦れていた。
自分だけが欲しているようで苛立った。
「―――…ガユス」
そこらの女とあの男が違うことなど、分かりきっていたことだったのに。
24.僕と同じ空が君の眼にも映っているのだろうか
「ギギナに瞳を覗き込まれるのがすっごく不快な10.7センチメルトルの身長差」
「時にガユスよ、聞きたいことがある」
「無視か。で、なんだ」
「貴様のその目にも、私が見るのと同じ青空が見えているのか?」
「見えてない見えてない見えてない!おまえの見てる空ってなんか水玉模様だし!!」
「そうか、ならいい」
私以上にその青を瞳に映しているなら、その眼球を抉り取ってやろうと思っていた。
25.僕に指図できるのは君だけ
「見ろ、ガユス!!今し方、行きつけの家具屋でトールダ、」
「ああ、領収書ですか。それならヒルルカの親権譲渡状と判を押した離婚届を添付の上で受理致します」
(write 06.11.4)