散々放せ、と喚いていたのに、今は何も喋らまいと引き結ばれた唇とか。
引き離そうとしていたのに、いつの間にか押し付けるように髪をわし掴んでる指とか。
涙が乗って震える長い睫、あとぎゅっと瞑られ染まった目元、とか。
彼の全部が刺激的に過ぎて。
脈も鼓動も速過ぎて速過ぎて。
心臓はどうしようもないほどばくばくと音を立てて痛くて痛くて。
「‥死にそうだ」
「‥ひっ、喋る、な‥ぁ!」
「―――あ、」
壁伝い、気が抜けてずるずると蹲るルルーシュが可愛いな、と思った。
けれどそれを言ったら確実に殺されると思った。
だから口内の白濁を飲み干した僕の第一声は。
「‥‥早」
「っ!」
「ちょ、痛っ、痛い、ルルーシュッ!?」
―――嗚呼、これは死ぬかもしれない、と思った。
殺す!
好きで好きで仕方なかった。
ずっとずっと大好きだった。
その気持ちは七年分が凝縮されて(あるいはそれがなかろうと)、気が付いたら行動に移った後だった。
眠る彼の顔に残った涙の跡が痛々しい。
ずっと泣き叫んでいた声だってしっかりと耳に残っている。
その悲鳴にですら欲情した自分のことも、しっかりと覚えている。
そっと指でなぞってみても、涙の跡は消えはしなかった。
「ごめんね」
謝ってみるけれど、後悔なんてこれっぽっちもしていない。
だってこれは、正しい本能に基づいた行動の果てに残されたものなのだから。
欲情するということ
(07.04.08)