『ガザニア』
くすんだ赤銅の髪と 澄んだ青の眼
正反対のその色の共通項は 光を飲み込みそうな深い色彩
それはまるで 与えられるもの全てを飲み込みそうな 底無しの
生きる理由を求めて彷徨うは
生きる意味を掴めずのたうつのと同義
闘争を求めている訳ではない
なのに貴様が強さを求める意味がわからない
私とて 闘争という意味無しではここで生きることが出来ぬというのに
「‥‥じろじろ見るな、気色悪い」
「ガユスは強いな」
「訓練の最中、今日までにてめえが投げてきた新手の厭味にしては最高だ」
言い訳も無しに ここに存在出来る貴様が
私にとってはある種の意味で 常に眩しく見えている
『難問』
「いや、笑えるというより理解不能だ」
浮かんだのは嘲笑。
嘲笑ったのは打ちひしがれる眼前の男ではなく、あの女。
良い女、だったのだろう。
図書館で私に向かって切ったあの啖呵は正直、賞賛に値した。
しかし課した責務が果たせないならば何の意味も無い。
結局あの女が出来たことといえば、この愚かしい男を再び果て無き苦悩と卑屈の渦中へと帰しただけ。
仮に。
いつかこの先どこかで私がこの男を捨てたなら。
その時、ガユスは今と同じ表情をするのだろうか。
「正直、女と別れたくらいで落ちこむという、貴様の精神構造は私には私には理解できない」
そう、これは決して解けることのない疑問。
―――私が生きる間には。
『おまえと朝の日差しと、俺が』
「…サイアク」
「ほう、まだ動けるか。もう少し出来たな」
「良く見ろ何処がだ。足ガクガクいってるし」
「軟弱」
「うっさい、誰のせいだと思ってやがる」
「誰のせいだ?」
「うっさい」
「もっと寄越せ」と強請るお前と、
「もうやらない」と拒めない自分のせい。
『二言三言』
俺って口から生まれてきたと言われる程の男だから
成分表示の10割がいい加減差で出来てる自分の発言になんて
これっぽっちも責任持てない。
そんな俺だがこれだけは断言できる。
「おまえが俺をどう思おうと千歩譲って勝手としてやる。
だが俺がおまえに惚れることは万歩譲ってもありえない」
「ふん、それこそありえんな」
「前から一回聞いてみたかったんだけど、その根拠不明な自信はどこから来るんだ?」
ま、俺はおまえと違って
自分の発言に責任なんて持てないけどね。
『ばんぷ おぶ ちきん』
言いたいことあるなら言ってみろよ。
末膳?何、それってつまり俺も末膳だって言ってんの?
その場のノリで頂きましたー、みたいな。
は、良い度胸。
うっさい言い訳すんな。
(06.9.24)