【車内音楽】
『100パーセント片想い♪
Baby I love you so 好き好き Baby♪
100パーセント片想い♪
グッと迫れば 無理無理 Baby♪
100パーセント片想い♪
Baby I love you so 好き好き Baby♪
100パーセント片想い♪
ちょっと振られて フリフリ Baby♪』
「ガユス、早急にその曲を止めろ。不愉快だ」
【頭禿げても 浮気はやめぬ】 (ギギガユ+イェスパー)
「おい」
「何故、ラキ家の翼将がここにいる」
「速く禿げてやれ」
「!?」
【勇者は皆墓標の下】
強敵を倒すその手で屠る
倒されるのは強き者
ならばその場合、最後に残ったギギナは何者なんだろう?
「なんだ?」
「なんも?」
あいつの顔を眺めて思いついた極論に俺は嗤った
【疑問解決】
「ああ、そっか。俺がギギナを殺せば万事解決だ」
「話の流れが全く掴めぬが。私はガユスなどには殺されない」
鼻で嗤ったあいつに俺は綺麗に笑い返した。
【教育系バラエティ番組視聴中】 (ギギと仔ガユ)
(出題:水平線の距離は?)
「ひゃくメルトルくらいだよ」
「そんなわけがあるか。10だ」
「じゅうメルトル?」
「キロメルトル」
(正解:5キロメルトル)
「‥‥」
「‥‥」
「ガユス?」
「ギギナは10キロメルトルでしょ?」
「ああ」
「で、オレは100メルトルでしょ?」
「ああ」
「正解は5キロメルトルでしょ?」
「ああ」
「ギギナは正解から5000メルトル遠くて、オレは正解から4900メルトル遠いから、オレの勝ちだよ」
「‥いや、」
「勝ち」
「‥‥ああ、そうだな」
【防水加工】
「機械だったら良かった」
傷の痛みを感じない
心の揺らぎに動じない
与えられた仕事を淡々とこなすだけ
そんな無機質だったらどんなに良かった
温度なんて知りたくなかった
「機械だったら良かった」
すると目の前の人形が、不思議そうな顔をした
「しかし機器類は熱に弱いぞ?」
嗚呼、そうだなそうだよ本当だ本当に
「機械だったら、良かった」
そうだったなら、素直にこの熱で逝けたのに。
【血液型占い】
『おまえぜーったい!B型だろ!』
申請した領収書は当然の如く却下されて罵られるのはいつものこと。
それは良い構わない。
所詮、端からフィルター代わり。
領収書とその内容を罵られているうちはそれを通してしか罵られることは無い。
ガユスは『借金を作るギギナ』が『嫌』なのであって、決して『ガユスを好いてるギギナ』が『嫌い』な訳ではないのだ。‥‥‥好かれてもいないが。
「‥‥そういえば、今日の朝は見忘れたな」
仕方が無いので明日の赤い犬っころに賭けることになった。
【嘘を吐くかホラを吹くか】
ほら吹きと嘘吐きは違う生き物だ。
ほら吹きには誰でもなれる。彼者の叫びは虚無の響き。
しかし嘘を吐くには真実を知らねばならない。
嘘とは虚無ではなく、真実事実の裏返し。
嘘吐きは何時の時代、何処であっても真実を見つめた賢しい生き物なのだ。
「おいコラギギナ!聞いてんのかてめぇ!」
そして今。そんな思考をつらつら挙げて現実ではない何処かにいっていたギギナが事務所に帰還しても尚ガユスは意識のギギナが旅立つ前と寸分変わらぬ状態でそこにいる。
つまるところ、領収書についての苦渋苦言を罵詈雑言を伴いぶつけていた。
「‥‥貴様、本当に私を愛しているのか?」
自分へのそんな態度が少し寂しくて、悲痛な翳りの美貌に憂いを帯びた声音を以てして問えばなんのその。
「んなわけねぇだろ。頭沸いてんのかカス」
甘さなんて微塵もない、寧ろ殺気滲んだ威嚇よろしい嫌悪と怒声で返された。
嗚呼、そうとも。
嘘吐きとは、どんな時でも真実を知る賢しい生き物のことなのだ。
【猫の骸】
彼は猫は嫌いと言った
柔らかくて温かくて弱いから だから猫は嫌いなのだと彼は言った
ならばそうじゃなくなれば 彼は猫を好くのだろうか
固くて冷たくて無感情なら 彼は猫を好くのだろうか
「なぁ、ギギナ」
「なんだ」
「だいすきだよん」
「ついに脳が腐ったか」
そうなる前に 彼は猫を好いてくれるだろうか
(07.10.18)