two traffic lane love - 6.暗示的選択肢
抱きしめたい、と思ったことは多々あった。
だが行動に移したことはなかった。
咒式士のくせに折れそうに華奢なあの体は、己が愛しさに力を込めただけで簡単に砕けてしまいそうで怖かった。
けどけれ以上に、触れた瞬間に強い嫌悪で弾かれるのが恐ろしかった。
貧弱なあの男は、何より強い拒絶でもって他者を決して寄せ付けない。
ガユスを砕いてしまうことより、ギギナ自身、己が砕かれることにずっとずっと怯えていた。
―――‥だから。
【暗示的選択肢】
壊さない為に己の取るべき行動は、
2007.7.31 わたぐも