『みえるけしき』
嫌いなものとか 辛いこととか 汚いもの
これからは半分しか見ないで済むね
そして同じ分だけ
好きなものとか 嬉しいこととか 綺麗なものも
これからは半分しか見れないね
でも、なんでかな
半分になったはずの幸せが 君と出逢う前より倍に見えるよ
『 』 (124話 ファイ視点)
「‥‥誰がそんな風に腹ぁ括れっつった」
―――ああ、また眉間に皺が寄ってる
「‥‥ごめんね」
オレのせいでそんなに苛々させて
でも、ね
『羽根を取り戻す為にこれも必要か』
『両方取り出せば用は無い』
―――必要なのは、『オレ』じゃない
『つよさのもと』 (124話 黒鋼視点)
「‥‥ごめんね」
―――おい、そりゃあ一体何に対しての謝罪だ
「魔女」
生きる事をやめたこいつを再びこの地に立たせることに 迷いは無い
「こいつを助ける方法はあるのか」
ただ
「‥‥あるわ」
―――それを成すのが己の力でないことが、腹立たしかった
『ぼくだけがしっていること』
「……恥ずかしいのであまりじろじろ見てないで下さいー」
「おまえの後ろ、夕日を見てたんだがいけねぇか」
「…黒りんた、屁理屈こねるのうまくなったねー」
「ああ、どこかのへらい奴のお陰でな」
「誰のことかなー、それ」
「最もそいつも今じゃ、小僧と姫のお陰で少しはへらさがマシになったがな」
―――違う
「……ホント、誰のことなんだろうねー」
「さぁな」
その子が変わった一番の理由は
気遣いも無しに土足で踏み込んできた無愛想な存在のせいだよ
「…何笑ってんのさ」
「さぁ、な?」
―――なんて、ね。
悔しいから 自分の事には案外疎い君には 教えてあげない。
(06.8.5)