ルルーシュ、気づいたの
私、気づいちゃったの

どうしてスザクを騎士に選んだのか聞いたでしょう?
どうしてスザクが目に留まったのか聞いたでしょう?

クロヴィス兄様殺害の容疑者だったからじゃないの
シュナイゼル兄様の特派のパイロットだからじゃないの
お姉様をナリタで助けてくれたがらじゃないの

ルルーシュ、貴方なの
彼、昔の貴方にそっくりだったのよ

口調も、言葉も、自分を省みないで他者を守る優しいところも
それでいて、どこか寂しそうな瞳も、嘘つきなところだって
全部じゃない、そっくりなだけよ

初恋だったの
あのねルルーシュ、貴方は私の初恋だったのよ

ううん、違う
「だった」じゃない。何一つ変わっていない

私が好きなのは今だって
今も変わらないのは


『ナナリーの為よ』


そう、ナナリーの為
つまり、貴方の幸せの為

ルルーシュ、貴方を幸せにしたいの
でも私じゃ貴方の幸せになれないって知ってる
貴方は私の幸せだけど、私は貴方の幸せにはなれないの

ならばせめて貴方の力になりたいの
貴方の幸せを守る力になりたいの

お飾りの副総督
一人じゃ何もできないお人形
うまく使えない皇女の地位
それでも「皇女」であることは、要領の悪い私を他者と繋いでくれる唯一の力だった

私にとって「皇女」であることは確かに大切なことよ

でもね、ルルーシュ
私は、私が本当に大切に思ってるものでも捨てられるのよ
だって私は、『本当の』本当に大切に思っているもの―――『本物』は捨てていないもの


好き。大好き
貴方が好きになってくれなくったってかまわない
私が貴方の幸せになれなくってもかまわない
見返りなんて求めてないの
これはスザクと約束した「好き」とは違う「好き」

本当の好きなの
本物の大好きなの
世界の誰が貴方の行動を理解しなくても、私はずっと知ってるわ
貴方がどれだけ優しい人なのか
貴方がどれだけ傷付いたのか
貴方がどれだけ、

嘘じゃないわ、本当よ
ずっと、ずっと大好きよ



なのに ルルーシュ

ごめんなさい





「必ず見つけだして殺せッ!」





やっぱり私じゃ 貴方の幸せには なれなかった。






なのに私は幸せでした



ごめんなさい、貴方に痛みを与えるしかできなくて
ありがとう、私に幸福と愛を与えてくれて


2007.3.29  わたぐも