騙された、と思った。

だってルルーシュは生粋のブリタニア人
遊んでたんだと思った
日本人の心を弄んであざ笑ったんだと思ってた。

自分の正体を綺麗さっぱり仮面に包み、人の命で遊んでいたのだと思った。
騎士団員をチェス駒に、自分は安全な場所でから眺めて遊んでたんだと思った。

おかしい、と思った
破綻してる、と思った
間違ってる、と思った

私のその考えが。

そう、私は矛盾に気づいたの。

だってあの人はいつだって戦いの最前に現れた。
決して力は強くなかったけれど、いつも必ず銃弾の先頭に立っていた。
銃口の真正面に身を曝した。
彼はいつも、一番危険な場所に立っていた。

いつだって誰だって、まず彼が動くから皆その後ろについて行った。

そんな彼に私は惹かれた。憧れた。
流した血を無駄にしない為、更なる血を流してみせると彼は覚悟した。

信じようと思った。
流した血の為突き進むのだと迷い無かったあの人を。
共に修羅の道を歩むと誓った私を。
そんな私に感謝を述べてくれたあの人を。

もう一度、信じよう。
彼と共に歩むために。


そしてたどり着いた真実。
それはとても残酷だった、あの人にとって。

仮面を被って口を閉ざしたのも道理
誰にも何も言えなかったのも当然

そう、言わないことは偽りじゃない。
そう、嘘じゃなかった。
そう、本当だった。


真実、あの人はブリタニアを憎んでいた。


自分も含め、全ての弱き者のために立ったのだ。



私は嘘をずっと吐いていた。

日本人の誇りを足蹴にし、ブリタニアの名を叫んだ
自己保身の嘘ばかりだった私の人生

そう、七年前のあの日から、私はずっと嘘を吐いてきた


嘘しかなかった私の半生
嘘しかなかった彼の半生

どうしてルルーシュを好きになれなかったかようやくわかった

彼と私が同じだからだ

私は私が嫌いだった
私は嘘を吐かないと生きていけない私が嫌いだった
そんな私と彼は同じ
だから私は、彼が好きになれなかったのだ

そう、彼は私で私は彼
そう、私と彼は同志だった

人種も種族も差別も越えて
流れる日本人の血よりも濃く、深いところで繋がっていた

そうよ
私とルルーシュは、本当の意味で真の仲間だったのよ。



「だから殺すかい?ゼロを殺した僕を」

疲れた顔して呟く男に、女はきょとんとした顔をした。

「殺すわけないじゃない」





だってそんな命令、あの人は一度だって 出してない。






鏡の騎士
【大丈夫、貴方の友は私の前で今日もちゃんと酸素を吸って吐いていますよ】



ゼロの計画と命令は絶対よ、彼の行動には意味がある
妨げる者は許さない
だって私は彼の親衛隊で、その隊長なんだもの。


2008.02.03  わたぐも