―――アリエスの離宮?
―――マリアンヌ王妃は騎士候といえ、庶民でしょう
―――快く思わぬ皇族も多いと聞きます
―――第二皇女殿下は王妃を尊敬していらっしゃるようだが
―――クロヴィス殿下は何故またそのような場所へ‥
―――なんでも、第十一皇子がお気に入りだとか
―――ルルーシュ様が?確かに利口な方とお聞きしているが
―――皇位にしても、殿下にどんなメリットがあるというのだ
―――しかしなんにしろ、あちらにしては降って湧いた幸運ですな
―――第三皇子と繋がりが出来たのだから






「クロヴィス様、今日もルルーシュ様のところへ?」
「ああ。菓子の用意は済ませたか?妹君と約束しているのだよ」
「はい、整っております。‥しかし毎日毎日、そうも熱心に何を?」
「チェスをな。私もそれなりの内手だと自負していたが、彼にはどうにも勝てん。今日こそ一矢報いたいものだ」
「殿下」


嬉々として語るクロヴィスを、執事の冷めた声が遮った。


「ルルーシュ様と殿下では同じ皇子であれど立場が全く違います。戯れ事にしても気安く交わせる事でははありません。第一、殿下ではなくあちらの方から出向くのが皇族としての、」
「私が行くことの、一体どこに問題がある」


凛とした声音が、ぴたり、と執事の語りを止める。
文化人の彼からはあまり聞くことの無い、人を制する響きのある声音だった。



「腹違いとはいえ、実の兄弟ではないか」






ブラッド リレーション



大河内一楼に28の質問を読んで「腹違いとはいえ〜(三話)」 が命乞いではなくて、クロヴィスの本心だったんだ、と知った。


2007.1.15  わたぐも