「前から聞きたかったんだけど」

はい、なんでしょう?

「君はどうしてそこまでゼロを否定するわけ?」

彼のやり方は間違っています。あれじゃ何も変えられない

「うん、それは前も聞いた。僕が今聞きたいは、もっと内っ側」



「彼に対する君の否定はちょっと尋常じゃないねぇ。徹底し過ぎてる」

そう‥ですか?

「例えば、ね。僕は軍人だけど、黒の騎士団やゼロの考え方・行動は嫌いじゃない」

ロイドさん!?

「いっそ清々しいとさえ思うよ。決めたこと一つをああも真っ直ぐに追うなんて、そう出来るもんじゃない」

けれど彼らは‥!

「揺らぎも苦悩も皆まとめて飲み込んで突き進む、只々ひたすらに‥‥あ、だからって別に僕に謀反の意志とかはないからね?」

‥わかってます

「話を戻すけれど」

はい

「だから、君は嫌いなんでしょ?彼のこと。ゼロを見るのは自分を見るみたいでさ」

どういうこと‥ですか

「君は前に僕に言ったね。“それが世界だというなら自分は悔いはない”、と」

‥‥

「なら聞くけれど、君の意志はその程度のものなんだ?」

‥てい、ど?

「僕はやりました。頑張りました。けれど世界は変わりません。でも出来ることは全てやった、だから“悔いはない仕方ない”?」

そんなつもりは‥!

「君は言ったね。“ゼロのやり方では何も変わらない、変えられない”って。──でもさ」

‥、

「あの時の君の姿勢も結局、何も変わってないのと一緒でしょ?」

‥‥

「豪華で高価な洋服で身に包んだ健気な人。けれどそのお綺麗な外見と中身は、果たして釣り合っているのかな?」

‥‥何が‥言いたいんですか?

「必死になって結果を求めてるのは君の方だ」

―――‥‥っ、

「ゼロなんか比較にならないほどに徹底的に、手段を選ばず冷徹に」

‥‥違う‥

「自虐的に自分を軍というこの環境に浸しているのもその為だろう?」

‥‥ちがう‥

「君が欲しいのは、平和じゃ無い。まして、救済でもない」

‥ちが、


「罪への、罰だ」


違うッ!僕は!!僕は‥ッ!!



「‥‥あー大丈夫だよ、セシル君。そんな騒がなくったってさ」

──‥ぁ‥‥すみ‥ませ、

「いーよ、気にしてないから」

‥‥‥本当に‥すみません、でした‥‥失礼します‥






「セシル君、僕の胸倉って掴みやすいのかな?」


「茶化してなんかいないって。スザク君にも変なことなんか言ってないし」


「死なせたくない者なんかないのに、軍にいたって仕方ないよ」


「‥‥難しいね、学校ごっこは」






別に“君は間違ってる”なんて言ってるわけじゃないし、言う気もない。

ただ、やるなら覚悟を決めて正義を行え迷いは捨てろと、二度目の釘を刺したんだ。






上司としての顔、部下としての顔



「その矛盾はいつか君を殺すよ?」は、ロイドなりの心配と警告だと解釈。


2007.1.12  わたぐも