ウェルカム コールド





「‥腹が立つぞ、貴様」

「‥‥へらへら笑うな鬱陶しい」

「‥‥‥天井が、」

「はいはいはい。ヒエ○タ張り替えるからじっとしてろ」

「‥‥」

「あーはいはい、ごめんごめん。ヒエ○タ張り付いてて痛かったな」

「‥おい」

「口開いたところで体温計入れます、咥えてろ」

「‥‥‥」

「“‥‥ガユス、貴様、まさか楽しんでいないか?”―――あ、鳴った」

「‥わかっているなら、」

「39度3分。これでそんだけ意識あるってやっぱり前衛は人類じゃないという証明だな」

「‥‥‥笑うな」

「無理。風邪引いたおまえを目にして笑いを止るなんて腹筋の構造を変えても無理。 でも安心しろ、俺は軟弱で貧弱で風邪っぴきで鼻水ずるずるのギギナだって愛せるから」

「‥‥‥殺す。絶対殺す。そこを動くな眼鏡の台座」

「えー、風邪こじらせたギギナと心中だなんて、ガユス困っちゃーう」


シナを作った厭味を飛ばすも、飛んでこない屠竜刀。

そうだよ、俺は今、とてつもなく楽しいよ。



だって、おまえも俺と同じ場所にいる同じ人間なんだと 実感してるから。







風邪っぴきギギナさんは可愛いと思う。



2006.10.10  わたぐも