インスタントラヴ





確かにおまえは前から俺に惚の字だったのかも知れない。
だがよく考えろ。やった方のギギナはまだしも、やられた方の俺がかわいい両手両足の恨みを忘れられようか、答えは否。
“いじめっ子はいじめられっ子が好き”なんて法則、被虐趣味者を例外とした不可逆性の自然の摂理だ。


でも初対面でおまえ、“いじめ甲斐がありそう”とかほざいたよな?
明後日の方角を向くな、拗ねた目ではこっちを見るな。
そして再度よく聞け。


そうだな、おまえは前々から俺にゾッコンだったのかもしれない。
だけれど俺はその前々時には別の人間の尻ばっかり追いかけてた訳だよ、知ってるだろ。
何かを追いかけている経歴は同じでも一途を問われた場合、俺とおまえじゃ天と地の差ほど経験値に開きがあるわけでつまりまとめると、 今のままでは一方的過ぎておまえが言うその“コイビト”というどこで覚えてきたんだという関係は成り立たない訳だ。


RPGを思い出せ。知らないなら想像しろ。
ラスボスとタイマン張るにはそれなりのレベルが必要だろ。
恋愛もそれと一緒。今さっき召喚されたような勇者役の俺が、ラスボス魔王・既にレベルマックスのおまえと戦えば間違いなく瞬殺される。ゲームオーバー。


わかった、わかった。
わかりやすく数値化して教えてやろう、おまえの俺への恋愛経験値が年にして3年、日数にして1095日。対して、俺のおまえへの恋愛経験値は3日どころかまだ 3分あるかも怪しいのが現実だ。
3分だぞ、3分。おまえが1576800分なのに俺まだ3分。525600倍。


まぁ‥そんなわけで、さ?


‥‥だから、なんだ‥その、少し時間が欲しい、かなぁー‥‥なんて?


‥‥うん、まぁ‥‥‥‥‥‥‥3分。







熱を注ぐだけ。直ぐ虜。凄く虜。(ちきんラーメンの唄に乗せて)
惚れやすいガユスの話でした。



2006.10.8  わたぐも