95.水





人は、海のようなものである。
あるときは穏やかで友好的。
あるときは時化て悪意に満ちている。
ここで知っておかなければならないのは、人間もほとんどが水で構成されているということだ。




「ペットボトルいっぱいに詰めて蓋を閉めれば波も何もないと思わない?」

「ではその中にガユスを入れて試してみるがいい。波が立たないからこそ底にヘドロが溜まる」

「お前の主成分ってきっと純水だな。実験器具の洗浄に無駄に垂れ流される感じが持病の流血思考病にそっくり」




険悪な雰囲気にももう慣れた。
鼻を鳴らしたギギナに向かって舌を出した。
珈琲を淹れようと蛇口を捻った。

生温い塩素の臭いがした。







アインシュタインの言葉を見て何となく。


2006.4.25  わたぐも