47.血
切り裂いた敵の血を浴びて赤く染まった彼。
重く濡れた衣の裾を巻き上げる。
意味のわからない行為。
「…気持ち悪りぃ」
青くなった顔に張り付いた赤い液体。
少し固くなったそれを白い指先で拭ってやると痛そうに眉を寄せた。
「触るなって」
弱弱しく振り払われた、手。
凝固し始めた血液をなぞったから指紋の跡が頬に残っている。
変な模様が付いたから寄せた舌で舐め取った。
「貴様にはそれの方が似合いだ」
同じ朱に染まるのならば 私の為の朱に染まって
張り付いた血液に嫉妬。
2006.5.7 わたぐも