は皆賢明です。あの二人だって思っていますから」
「『でも本当は優しい人』、ってな」
「刹那は貴方がそう育てたくせに」
吐き捨てる。
探るような視線が向けられた。
何時だって熱に浮くことも、自分を見失うこともしない碧瞳。
兄弟らしく、彼とそっくりで、それでいてひとつも似ていない瞳。
人を貶めることを、知っている眼。
「――本当、人を見る目あるよ、おまえ」
舌打ちを堪えた。
何故?自分は今、一体誰に遠慮したのだろう?
「真面目だなぁ」
唐突に、けらけらと笑い出した陽気な声。
眼前にいるのはまたいつもの酔っ払い。
「おまえなら、刹那をやってもいい」
「いらない。既に手一杯です」
――言うと思った。
そう言って笑う男を、思い切り蹴り飛ばした。
だったら言うんじゃねぇ。
と。
大砲とピストル
端から手放す気のない長男でした
2008.1.17 わたぐも